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体験記

体験記 登録州 ワシントン、オレゴン、テキサス

宮下 優, PE
登録州:テキサス州
専門分野:Electrical & Computer

1.登録までの経緯

・2023年7月 米国のプロジェクトに係る職場に異動。FE/PEの勉強を開始。
・2023年10月 FE試験(Electrical and Computer)受験、その後合格
・2024年4月 PE試験(Electronics, Controls, and Communications)受験、その後合格
・2024年5月 テキサス州PE登録に向けた準備開始。情報収集を始める。
・2024年6月 Credential Evaluationsを開始。大学に当時のシラバスを取り寄せる。シラバスは日本語しかなかったので、英訳の作業を行う。自身による英訳は認められないため、翻訳サービスを利用。大学の学部のみの情報で申請。
・2024年6月 JSPEの総会に非正規メンバーとして参加。多くのPEの方と交流・意見交換をし、PEとして登録するメリット、及びそれに伴うリスクについて理解する。
・2024年7月 Credential Evaluationsが完了。私は大学3年次編入学だったので単位数の面で不安であったが、ギリギリ合格した。
SERの作成、推薦状の作成依頼を行う。推薦状は、テキサス州の場合は3名必要。オレゴン州、ケンタッキー州、メリーランド州のPE(全て日本人)の方より推薦状作成の許可を得る。
・2024年8月~10月 Criminal History Record Check, Ethics Exam等、申請に必要な書類を準備。
・2024年11月 全ての申請書類の準備が完了。TBPELS(the Texas Board of Professional Engineers and Land Surveyors)に申請。
・2024年12月 テキサス州に登録完了。証書が届く。

2.申請書類について

・Credentials evaluations
申請者が大学で受けてきた教育内容が、The NCEES Engineering Education Standardに準拠していることを証明する必要がある。NCEESで定められた単位数の要件があり、PEを申請するためにはこの条件を満たす必要がある。この一連の作業をCredential Evaluationという。具体的には、以下の3つの書類を準備し、NCEESに郵送で原本を送付する。
 ①学部の成績証明書
 ②学部の卒業証明書
 ③学部で取得した全ての単位のCourse Description(シラバス)
上記3種類の書類は全て英文で、郵送で送付する必要がある。①、②については基本、各大学で英文での証明書発行を行っているため、申請すればよい。一方、③のシラバスを英文で準備することが非常に大変である。
シラバスについては、自身がその科目を履修した年のものを準備する必要があり、かつ、英文でなければならない。私の場合は、当該年度は日本語のシラバスしかなかったので、自分の責任で英訳を行い、翻訳会社に依頼して英訳内容が正当であることを証明してもらい、NCEESに送付、承認された。

・Supplementary Experience Record(SER)
SERは、職務経歴書のことである。PEとして登録するためには最低4年の実務経験が必要である。なお、修士号取得者は大学院での経歴を1年としてカウントできる。SERは、1通である必要はなく、複数の経歴がある場合は経歴ごとに1通のSERを作成すればよい。私は、現在務めている会社での職務経歴(12年程度)で1通とした。SERを複数に分けると、それぞれに推薦者の確認・サインが必要なので、推薦者の負担を減らすために1通とした。

・Ethics Exam
テキサスPE申請者特有の試験である。倫理に関する小テストのようなもので、オンラインでいつでも受けることができる。問題は25問あり、22問以上の正答で合格である。試験問題は、ケーススタディとなっており、例えば「テキサス州PEの〇〇さんは、自分の専門ではない施工図面の承認を求められた。当該図面にスタンプを押すことは、州法●●条により違法と定められている。」という問題の●●に該当する条文を4択の中から選択する、というサーベイのような問題である。PE試験を突破する英語力があれば問題なくパスできる。

・Criminal History Record Check
アメリカで無犯罪であることを証明するために必要な書類。申請者の指紋を採取して原本を送付する必要がある。指紋を採取する台紙が定められており、FD-258という形式の台紙である。指紋採取代行サービス等を利用すればすべて代行してくれるが、自身で台紙を用意し、公証人立ち合いのもと警視庁にて指紋採取するという手法もある。

・Others
上記以外にも、英語能力を証明する書類の提出や、大学の卒業証明書の提出、推薦状等の提出、また申請料の支払い等の手続きがある。これらは、申請をする際にHPより確認ができるので、最新のテキサス州のボードを確認していただきたい。

3.参考HP

・NCEES(National Council of Examiners for Engineering and Surveying, 米国のFE、PE試験を作成・実施する協会.試験を実施するにあたり、受験生の資格の審査を行うためCredentials Evaluationの際にはここから申請する)https://ncees.org/
・TBPELS(Texas Board of Professional Engineers and Land Surveyors, テキサス州のプロフェッショナルエンジニア協会.TX州でPE登録をする際はここから申請する)https://pels.texas.gov/
・JPEC(The Japan PE/FE Examiners Council,日本PE・FE試験協議会.FE・PE試験申し込みの際に使用する)https://www.jpec2002.org/#top
・JSPE(The Japan Society of Professional Engineers,日本プロフェッショナルエンジニア協会.会員になると、PE登録のお手伝いをしてくれたり有益な情報を得ることができる。)https://jspe.org/

4.登録についてのアドバイス

JPEC-テキサス州間にてMOUを締結しているため、日本人にとって登録がしやすい環境が整っています。その他の州では、そもそも日本在住では登録が出来ないところもあります。TBPELS(テキサス州のPE登録を管轄する組織)にPEの申請をすると、担当者が1人ついてくれます。個人差があると思いますが、私を担当してくれた方は非常に親身に対応してくれました。指紋登録やEthics Examなど、テキサス州特有の手続きも多くあり複雑ですが、TBPELSがそれをサポートしてくれる体制を整えてくれていると思います。MOU締結州ということもあり、日本人の登録者数も相対的には多いため、JSPEの懇親会等に参加することで情報を得やすい州だと思います。私もサポートしますので、JPEC経由でご連絡ください。

5.所感

テキサス州PEが社内におらず、各種申請のノウハウがなかったため、とても苦戦しました。JPECの皆さまをはじめとして、多くの社外の方々のご協力をいただき、無事に登録を完了することができました。PE登録はゴールではなく、これから米国でのプロジェクトを円滑に進めるためのスタートであるという認識を持ち、業務に励んでまいります。ありがとうございました。

上記の体験記は参考として掲載したものです。
その当時の情報であり現在とは相違する点が多くあります。最新の情報は各州ボードでご確認ください。