登録州:ケンタッキー州[No.2023-Kentucky]
登録州:ケンタッキー州
南智之,PE
登録州:ケンタッキー州
専門分野:Mechanical
1.登録までの経緯
- ・2017年7月 FE試験を受験、合格
- ・2018年4月 PE試験を受験、合格
- ・2023年6月 シラバス英訳完了、Credential Evaluationsに申し込み。
- ・2023年8月 The Kentucky State Board of Licensure for Professional Engineers and Land Surveyorsに申請
- ・2023年9月 ケンタッキー州に登録完了
2. 申請について
・登録州の選定
当時関わっていたプロジェクトが行われ、かつ、JPECがMOUを締結しているテキサス州への登録を最初に検討したが、登録費用、更新費用(毎年)を考慮した結果、断念した。プロジェクトで、テキサス州PE登録者が必要になるタイミングは先であったが、将来速やかにテキサス州に登録できることを確認する目的で、ケンタッキー州に登録することにした。ケンタッキー州もJPECがMOUを締結している州の一つであり、他のMOU締結州と比較すると、申請書類が簡素で、更新が2年毎であったことが選定理由である。
・ケンタッキー州の申請プロセス
The Kentucky State Board of Licensure for Professional Engineers and Land Surveyorsのサイトにまとめられている。日本からの出願者は、ページ下部のInternational Applicantsに示されているApplication Formを使用する。
・Credentials Evaluation
NCEES(National Council of Examiners for Engineering and Surveying)にて定められた単位数および科目内容に関する要件があり、申請者が基準を満たしていることを示すことが求められている。そのために、大学、大学院で取得した単位の授業内容の認証翻訳(certified translation)を準備する必要があった。
Credentials Evaluationの要件を確認したところ、大学学部(航空宇宙工学科)で取得した単位のみで認定が得られそうだったため、大学学部のシラバスに限定して、認証翻訳を準備することにした。翻訳会社に見積照会を行ったところ、非常に高額だったため、一次翻訳を自分で行い、修正+最終確認を翻訳会社で行ってもらうことにより、費用を最小限にすることができた。また、自分で一次翻訳を行う際は、翻訳ソフトを活用した結果、1週間程度で仕上がった。
その後、シラバスの認証翻訳を大学に郵送し、大学から卒業証明書、成績証明書とともにNCEESへ送付したところ、数週間で手続きは完了した。結果を確認すると、Math/Science: 34/32、Engineering: 51/48、General Education: 18/12、Elective/Other: 38/ N/Aであり、数学・自然科学、工学が予想外にぎりぎりだった。数学の一部は取得単位数よりも低く評価され、工学では情報工学、設計製図、材料学、計測法などが認定されなかった。
・Work Experience
申請者自身の職務経験を自身で記載し、プロフェッショナルエンジニアとして必要十分な経験を有していることを示す申請ための書類である。プロジェクト名、プロジェクト概要、自身の責任範囲、自身のエンジニアリング業務内容を記述する。エンジニアリング業務内容は、プロジェクトとして実施したことではなく、自身が行ったエンジニアリングにフォーカスして記述すること(誰がやったか分からない受身形で書かずに、主語をIとすること)に留意する必要がある。どの程度の分量を書く必要があるのか悩むところであるが、私の場合は25年の経験で8ページ(申請フォーマット:8/11ページ)の分量であった。
・Reference Statement
5名(内3名はPE登録者)の推薦状を用意する必要がある。これまでのプロジェクトでエンジニアリングを一緒に行ってきた社外の米国人(PE)4名、カナダ人(P. Eng.)1名に推薦状を書いてもらった。ちなみに、ケンタッキー州は、JPECとMOUを締結しているため、日本の技術士を有していれば、推薦者になってもらうことができる。
・Others
ケンタッキー州は、上記以外に必要なものは簡単なアプリケーションフォームのみであり、申請の煩雑さは全くなかった。
3. 登録についてのアドバイス
最も労力を要するのは、間違いなく、Credentials Evaluationです。シラバスを自分で翻訳する場合は、それなりに時間がかかります。仕事との兼ね合いがありますが、集中して一気に仕上げることをお勧めします。私の場合は、週末を2回つぶして、仕上げました。〇〇〇〇Lを活用したところ、翻訳会社のレビューによる修正も僅かでした(米国で修士を取得しているため、専門用語は自分で選定)。また、登録準備を進めると、不明点が多々出てきます。ウェブでも調べることはできますが、州のPE Boardや大学の教務系窓口に質問するのが最も早く、確実です。例えば、WEBには申請書類一式がPDFでアップされていましたが、分量の多いWork Experienceを記述するには、不便なので、WORDフォーマットを依頼すると速やかに提供してくれました。だらだらすると際限なく、先送りしてしまう可能性があるため、短期間で集中してやることが重要だと痛感しました。
4. 所感
社内には、PE登録者どころか、FE/PE合格者が一人もいない状況で、FE/PE受験、その後のケンタッキー州登録を行ってきたため、最初の一歩を踏み出すのに時間がかかってしまいました。実際は、他の国内資格とくらべて、難易度が高いということはありません。日本の工学教育を受け、実務経験を積んでいるならば、チャレンジさえすれば、必ずFE/PEに合格し、州登録までたどり着けます。社内でも、私が取得した後は、受験者、登録者が一気に増え、FE合格者は22名、PE合格者は13名、州登録者は3名(2024年末時点)となっているだけではなく、試験合格率も100%です。皆様もぜひ挑戦してみてください。
上記の体験記は参考として掲載したものです。
その当時の情報であり現在とは相違する点が多くあります。最新の情報は各州ボードでご確認ください。
追記
以前は日本で実施されるPE試験に合格した場合もワシントン州にPE登録可能でしたが、現在ワシントン州にPE登録するには現地でPE試験を受験する必要がある。
との情報提供がありました(2017年時点)。